三宮のリラクゼーション

リラクゼーションとは

リフレクソロジー

E・ジェイコブソンが全身の筋肉を順番に緩めていく方法を導入した事により、リラクゼーションが病気の治療や健康増進に幅広く利用されるようになりました。
リラクゼーションは元々筋肉の緩んだ状態を示しています。
不安や緊張が高まると筋肉も緊張しますが、逆に筋肉を緩める事によって不安や緊張を解消できるのではないかと云う考え方です。
この事は筋肉を緩める事で脳の中枢神経系の働きを変化させる事が出来る事を意味し、この様な脳の変化は自律神経系、内分泌系、免疫系と云った生体機能調節系を介在させる事により、身体全体に変化を与える事になります。
心理的には心理的ストレスが解消される事により元気が出てきますが、具体的変化としては、緊張感が緩和し、疲労感が減少し、爽快感が増大した状態へと変化します。
他方身体的には生理的ストレスが解消され、ホメオスタシスやストレス耐性が強化されますが、生体機能的には交感神経系の抑制、副交感神経系の賦活、ストレスホルモンの低下、免疫機能の増強と云った変化が確認出来ます。
後日の研究の結果、筋肉の弛緩によりもたらされるこの様な特徴的な心身の状態は、ヨーガ、メディテーション、催眠と言った他の幾つかの方法によってももたらされる事が明らかになりました。
この様に或る特定の方法によりもたらされる心身の反応であるという意味から「リラクゼーション反応」と呼ばれるようになりました。

リラクゼーション効果

ヒーリング

リラクゼーション効果に言及する時には、次の二つの観点が重要となります。
第一の観点は、リラクゼーションに要する時間の長短による差です。
第二の観点は、それが一回のリラクゼーションによる効果(短期的効果)なのか、何度もリラクゼーションを繰り返す事による効果(長期的効果)なのかを区別する事です。
第一の観点であるリラクゼーションに要する時間の長短による差ですが、簡単に言うと短時間では緩んでいく効果が大きく、長時間になってくると元気が出る効果が加わってくると云う事です。
一例を挙げれば、事故催眠法を利用したリラクゼーション法として心療内科で広く活用されている自律訓練法という方法を実習すると、健康な人の場合、血圧は最初の五分くらいは下がってきますが、十分も経つと逆に血圧は高くなる事が多くなってきます。
心理的な面でも最初はカット頭に血が上った状態が静まり、穏やかで安らかな気持になってきますが、さらに実習を続けていきますとやがて様々な雑念が浮かんでは消え浮かんでは消えた後に、頭の中がスッキリとして色々な物事が整理され、エネルギーが湧いてくるような気持ちになります。
考えてみると、リラクゼーション反応には前半の文字通りのリラクゼーションフェーズと、後半のアクティベーションと言って良いフェーズの両方が含まれていると判断して良いようです。
つまり肩こり、頭痛、高血圧、不眠症といった心身の緊張状態が直接関与している病態には短時間での実習でも効果がありますが、うつ状態、慢性疲労といったエネルギーの低下した状態には、アクティベーションのフェーズまで至るように長めの実習をする事が望ましいと考えられます。
次に短期的効果と長期的効果の違いについて言及すると、短期的効果としては前述の通りリラクゼーション反応がもたらされます。
しかしその内容を精査してみるとリラクゼーション実習を2,3日行っただけでは大した効果はなく、持続的な効果を得るためには毎日続ける事が必要である事が解ってきます。
つまりリラクゼーションを病気の治療や健康増進に利用する為には長期的効果が重要になり、その長期的効果としてストレスに対する抵抗力の増大といった変化が起こる事が示されています。

リラクゼーションの方法

日常生活の中で私達は活動と休息、覚醒と睡眠、緊張と緩和といったリズムを繰り返し行い、このリズムの中で活動・覚醒・緊張が過剰になるとストレスが貯まり身体にマイナスの影響が出てしまいます。この様な状況から正常な状況を取り戻す為の有効な方法の一つがリラクゼーションです。
一口にリラクゼーションと言ってもその方法には様々なものがあり、例えば筋肉の緊張と緩和を利用した筋弛緩法、意識的に深呼吸を行う呼吸法、身体感覚を意図的におこす自立訓練法、その他にも瞑想法やイメージ法、もっと卑近な例を挙げれば「入浴する」、「音楽を聴く」、「いい臭いを嗅ぐ」といった事もリラクゼーションの方法の一つとして挙げる事が出来ます。

呼吸法で得るリラクゼーション

呼吸法の効果として次の四点を挙げる事が出来ます。
一、鼻から息を吸い込む事で、鼻の中にある神経を刺激し、気分を落ち着かせる。
二、この様な神経への刺激がアセチルコリンの分泌を促し、副交感神経が活発になる。
三、呼吸をすると云う身体の動きに集中する事により、頭の中の雑念にとらわれなくなる。
四、自分の身体をコントロール出来るという感覚が、自信につながる。
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私達はストレス、緊張状態の時は呼吸が浅くなり、逆にリラックス状態では深くゆっくりとした呼吸になります。
例えば、緊張している時に深くゆっくりとした呼吸を行うと気持ちが落ち着くように、身体と呼吸の関係は密接です。
私達は普段無意識に呼吸を行っていますが、意識してゆっくりとした深い呼吸をすることによって、より多くの酸素を血液中から体内に取り入れ、身体の細胞を活性化させる事が出来ます。
又ゆっくりとした呼吸が横隔膜を運動させる事により、自律神経中枢にインパルスと云う活性化情報を多く送ります。
その結果脳に送られる活性化情報の量が多くなり、深いリラクゼーション効果が得られます。

---------実際の手順---------
1、姿勢を整える
浅く椅子に腰掛けます。
空間がある場合は、仰向けに横になり腹部に手を置くという姿勢をとっていただいても結構です。
それはその方が座っているよりも腹式呼吸がし易いからです。
手の位置については椅子に腰掛けている場合、始めに両手を胸部まで上げ、その後手首をだらーんと下げ、そのままの状態で両膝へともっていきます。時計やベルトなど身体を締め付けるものやアクセサリーなどは外しておいた方がよりリラックスしやすくなります。
尚、呼吸法を行う場所は出来るだけ静かな所が望ましいです。
2、腹式呼吸をする
そのままの姿勢で腹式呼吸をしますが、腹式呼吸をするときには目を閉じながら、「何か」をイメージしながら呼吸を行います。
人により利用するイメージは違いますが、例えば「肺が大きく膨らみ、空気を入れ換えているイメージ」や「深い森の中で新鮮な空気が鼻より入り、身体全体に拡がっていくようなイメージ」等自分の好みにあったイメージを利用しながら呼吸を行っていきます。
呼吸は一セットにつき七・八~十回程度行うようにします。
呼吸は腹部や胸のサイドに息を入れるようにしながらゆっくりと行いますが、吸うことよりも吐くことに意識を集中し、「ふ~」と長くゆっくりと吐き出すように行います。
そのように息を吐き出せば自然と肺が息を吸い込んでくれますので、次の動作に行き易くなります。
呼吸終了後は一分程度時間をとり、目をゆっくりと開けるようにします。
通常は一日三回程度、一回に五~十分程度の時間をかけます。
これも身体をコントロールする練習ですので、スポーツと同様に、練習すればするほど上達します。
---------腹式呼吸が解らない・出来ない---------
腹式呼吸を行うときは鼻から息を吸いますが、その時口は閉じるようにします。
その理由は、口を開けたままの状態で息を吸うと咽頭部から喉頭部にかけての筋肉が緊張してしまうためです。
呼吸は肩や前胸部を動かさないようにしながら、つまり胸式呼吸をしないようにしながら行います。
一般的には男性よりも女性の方が腹式呼吸を行うのが苦手という方が多くいらっしゃいます。
女性の中にはこうした動きが解らないという方もいらっしゃるかも知れません。
その時は仰向けになる空間を確保して横になってみましょう。
通常横になったときの人間の呼吸は腹式呼吸になります。
そこで、仰向けになった状態でお腹の上に重量のあるものを置き、それを持ち上げるように呼吸してみると腹式呼吸の練習になります。

筋弛緩法で得るリラクゼーション

強い不安や緊張などがあるとき人間は自律神経の交感神経が緊張し、それにより筋肉が緊張して血圧が上昇し、脈拍も早くなります。
逆にリラックスしている場合は交感神経は緩み、副交感神経の働きが活発になるので、筋肉は力が抜けて弛緩状態になります。
筋弛緩法はここの筋肉を意識的に緊張させてから緩める事により、心身をリラックスさせる方法です。
この方法により脳の興奮を和らげ、心身をリラックスさせる事が出来るのです。
所謂リラクゼーション効果がもたらされたのです。
リラックスしている状態を意識的に作り出すというのはなかなか難しい事ですが、反対に緊張状態、つまり意識的に筋肉に力を入れるという事は比較的簡単に出来る事です。
誰でも今すぐに小さな動作で出来ますし、意図的に緊張させた筋肉をその状態から一気に解放すれば、自然に筋肉は弛緩し、リラクゼーションをもたらす事が出来ます。
振り子の例を挙げれば、振り子と言うのはどちらか一方に重りを持ちその場で離せば、自然と反対方向へ進みます。
リラクゼーションと緊張の関係も同様で、意図的に緊張を与え、それを離せば身体は緩みます。
重要な事は、この様な方法を実践して気分転換上手になる事と、自分の身体は或る程度であれば事故制御が可能だと云う感覚を身につける事です。
筋弛緩法も呼吸法と同様に短期間では上手く出来ない事もありますが、練習を重ねれば誰でも上手くなります。
---------リラクゼーションの為の準備・環境を整える---------
通常筋弛緩法は両腕の筋肉から始めるのですが、その為にリラックス出来る態勢になります。
先ず椅子に浅く腰掛け、身体を締め付ける時計、ベルト、ネクタイ、アクセサリー類は外します。
次に深呼吸をして、全身の力を抜きます。
新鮮な空気を身体の循環させる様子を想像しながら、鼻から息を吸い込み、「不~」と口から吐き出します。
何度かこの動作を繰り返せば、準備完了です。
---------腕の筋肉の弛緩---------
初めに利き手のリラックスを行います。
先ず右腕をまっすぐ伸ばした状態から右手で拳を作りますが、肘を少し曲げて拳を作ってください。
今あなたの右腕は緊張している状態だと思いますが、この状態を五~七秒続けます。
右腕には力を入れますが、怪我をしてしまう可能性があるので、十割の力で行うのではなく七・八割程度の力で行ってください。
そしてここで一気に力を抜きます。
今現在、あなたの腕は力の抜けた楽な状態になっているはずですが、腕は肘掛けにでも起き、楽な状態で二十秒ほど待ちます。
このリラックスした状態は腕から手のひらへ、そして手のひらから指一本一本にやがて伝わっていきます。
この様な五~七秒の緊張状態と二十秒の弛緩状態のセットを右手のみ五回程繰り返し行い、五回終了時点で右手と左手の違いを確認してください。
違いを何か確認出来、リラックスさせた方の腕が重くてダラッとしているとか、温かく感じるとか、その違いを確認出来ればそれはリラックス出来ている証拠です。
腕のリラックスの手順は下記の通りです。
1.利き手:5~7秒の緊張状態→20秒の弛緩状態→5回繰り返す
2.反対の手:5~7秒の緊張状態→20秒の弛緩状態→5回繰り返す
3.両手一緒に:5~7秒の緊張状態→20秒の弛緩状態→5回繰り返す
以上が腕の筋肉弛緩法です。
ここまで出来たら次に移ります。
但し、最初は難しい所もありますので、腕のみの練習が良い場合もあります。
腕のみのリラクゼーションを習得した場合であっても、嫌な考えや気持ちが湧いてきた時に腕のリラクゼーションを行えば、その感覚に注意を向ける事で気分転換を図る事が出来ます。
---------頭部・顔面・肩の弛緩---------
両目を固くつむり、鼻にしわを寄せ、口はおちょぼ口にして、舌は内側に丸め、さらに肩はすぼめ、顔全体のパーツを中心に寄せ集めるようなイメージで力を入れます。
腕の弛緩の時と同様に、頭部、顔面、肩の弛緩も七割程度の力加減で行い、この場合もこの状態を五秒程度維持した所で、一気に力を抜いてリラックスさせます。
この様な緊張から弛緩へのセットを、頭部・顔面・肩の弛緩の場合も五回程実施します。
---------胸部・腹部の弛緩---------
呼吸をする時のように息を大きく吸い込み、そこで一度止めて五秒間程胸部全体に力を入れる事で緊張状態を作ります。
胸に手を当てると緊張状態を感じ易いかも知れません。
その後一気に力を抜き、二十秒間程そのままの状態で待ちます。
こちらのリラクゼーションも前述のリラクゼーションと同様に、五回程繰り返します。
次に腹部のリラクゼーションを実施します。
背中を曲げて丸まり、腹部に意識を集中し、やや前屈気味になりながら腹筋に力を入れて腹部の緊張を五秒間程作ります。
腹部に関しても胸部と同様に、腹部に手を置いてからこの様な姿勢をとる事で緊張状態を感じ易くする事が出来ます。
急な腹痛の時にしてしまうポーズに近いものです。
そしてその後一気に力を抜いて二十秒間程待ちます。
この腹部のリラクゼーションも、胸部と同様に、五回程繰り返します。
---------下半身の弛緩---------
椅子に座った状態でバレリーナのようにつま先だけを床に付け、その状態で下肢全体を伸ばし、或いはかかとだけを床に付け、足の指を揃えてつま先から足全体を丸めるようにして力を入れ、下肢全体を緊張させます。
同様にお尻の穴をキュッと締め、椅子の下へ押し込むようなイメージを持ちつつ下肢全体で下方向へ力を込めます。
この緊張状態を五秒間程保った後に、一気に力を抜き二十秒間程そのままの状態で待ちます。
このリラクゼーションも前述の腹部と同様に、五回程繰り返します。